主に非ネイティブスピーカーを対象とした、読む、書く、聞く、話すという英語の4技能を総合的にはかるテストです。
オーストラリアなどへの留学経験のある親御さんや永住ビザをお持ちの方は、これらテスト、特にIELTSに関しては馴染みがあるのではないでしょうか?最近では就労ビザ取得の際にも英語のスコアを求められるケースも多いようです。
帰国生入試の場合、ほぼ全ての大学、学部でTOEFLかIELTSいずれかの提出、一定以上のスコアを求められます。まれに、大学によってはTOEFLのみ受け付けるところもあるようですが、多くの場合TOEFL、IELTSいずれも可となっています。また、AO入試などで英語力をアピールする際の証明にもなります。いずれのケースもTOEICは評価されないところが少なくありませんので注意が必要です。
この英語テストの対応は、オーストラリアで育った子と、高校留学で来ている方とでは若干対策が異なりますが、共通して言えることは、この英語テストは大事ではあるが、SAT対策のほうがより重要であるということです。
尚、IELTSの場合はGeneral、Academicの2つのモジュールがありますが、必ずAcademicのほうを受験してください。GeneralとAcademicでは、4セクションのうちWritingとReadingの問題が異なり、Academicだと若干学術な内容となっていますが、オーストラリアの大学でもAcademicのほうのみ受け付けているのと同様に、日本の大学でもAcademicのみ有効となります。
オーストラリア育ちの方の場合
IELTSでもTOEFLでも構いませんので、一度サンプル問題を解いてみてください。緊張感なくだらだらやったとしても、恐らくWriting以外はほぼ満点に近い点数が取れるのではないかと思います。ただし、若干わからない単語が出てきたり、油断しまくっているとケアレスミスがあったり、Listeningで思わず聞き逃したり、ということはあるかもしれません、が、その程度です。Writingに関しては、ネイティブでもスペルを間違って覚えていたり、文法の誤りがあったり、文章構成があまりうまくなかったり、ということで点数を落とす人は少なくありません。
いずれにせよTOEFLやIELTSは、わざわざ対策に時間をかけるようなものではないということです。
ただし、試験前に少なくとも一通り過去問題、サンプル問題などは解いておき、出題傾向や回答方式はつかんでおきたいところです。また、Writingについては、他のセクションよりは早くから、若干でも時間をかけて実際に何度かは書いておくといいでしょう。その際文字数と文章構成(後述)に注意。多ければいいというものではないのですが、ある程度の分量がないと評価が下がる場合がありますので、その点は念頭に入れておきましょう。
余談ですがWriting対策で言えば、日本語の作文能力アップとTOEFL、IELTSの対策を兼ねて、英語で出されているお題に対し、日本語で作文を作る、ということも役に立ちます。日本語で書こうと、文章構成は変わりませんから解答する対策になりますし、日本語の勉強にもなります。これは是非試してほしい勉強法です。
高校留学の方、駐在者の場合
これらの方はそれまでのバックグラウンド、英語圏での滞在年数などにより大きく対策方法が異なるでしょうが、英語が得意な場合は、オーストラリア育ちの方に近い心構えでいいのではないかと思います。ただしそこはネイティブとは違いますので、ある程度は時間をかけたほうがいいでしょう。とはいえSAT対策がおろそかにならない程度に。
問題は、英語がそこまで得意ではない方の場合です。
〇行きたい大学、学部がSATスコアの提出を求めている
この場合は、SAT対策を重視すべきです。TOEFL、IELTSは、英語能力のテストですが、SATは英語力がある前提での英語(国語)や数学のテストですから、SATの問題のほうがより高度な問題文となります。日本語でいえば小学校高学年から中学校の国語と、大人を対象に書かれた文章や小説くらいの違いがあります(TOEFLなどの試験問題が現地の小学生や中学生向けに書かれた英語というわけではなく、文章の難易度の比較の話です)。より高度な英語を対策することで、英語テストの対策にもなります。
当然、英語テストの問題傾向などは調べ、きちんと情報を入手しつつテスト対策も行うべきですが、SATの対策により比重をかけるべき、ということです。
ただしSATの問題、特に英語の問題がかなり難しいと感じる場合、その場合は急がば回れで、難しいと感じる弱点(単語なのか、文章を読むのが遅いのか、など)を補強することから始めましょう。
〇行きたい大学ではSAT提出は必須ではない
この場合でも、SATで一定スコアがあれば有利になるので、できればSATの対策もやっておくに越したことはないのですが、それにより肝心の英語力が思ったより伸びない、ということは十分あり得ますので、英語力アップのみに特化するのも手です。
駐在の場合はともかく、高校留学生は様々な思いで渡豪されていることでしょう。特に、英語力、コミュニケーションを不自由なくできるようになりたいと思っている方が多いと思います。テストの対策により読む力、書く力は間違いなくつくでしょうが、話す力は残念ながらつきません。
であれば、せっかくの海外での高校生活、机に向かってガリガリ勉強するばかりではなく、友達とたわいもない話をすることも勉強であり、かけがえのない経験でもあります。机に向かう時間は少し減らし、英語テストの対策(と学校の勉強)に集中し、コミュニケーションをどんどんやっていくのもまた英語の勉強です。
また、SATがなくとも高いIELTS.TOEFLスコアが出せれば、多くの大学で有利になることは間違いありません。
〇共通
TOEFLやIELTSにおいて、ある程度の英語力がある(日本の高校生として、その中では英語が得意なほうという程度)人が、短期間で最もスコアを伸ばしやすいのはWritingです。
空手にも野球にも相撲にも「型」があるように、このようなテストのWritingの文章構成にも型があり、それをマスターするだけである程度の点数は確保できます。オーストラリア育ちの方の場合、こちらの教育で文章構成の考え方を学びますが、日本人が全員日本語の小論文をちゃんと書けるわけではないように、オーストラリアの高校生でも苦手な人もいます。TOEFLやIELTSで求められるWritingの文章構成はその基本的な部分ではあります。しかし油断せず、今一度「型」をマスターしましょう。
テストにおいて、ListeningやReadingは完全に受け身なのに対し、Writingは、設問に対しては受け身ではあるものの、そこから自分の型に落とし込んで、攻めることができるセクションですから、そのことを念頭に置いて対策してみてください。
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