オーストラリアの高校生が日本の大学を考える際、2-3年ほどオーストラリアに駐在あるいは留学している方を除けば、日本語、日本の文化や風習、生活環境、大学のレベルなど様々な不安要素がありますが、受験する段階で最も悩ましいことの一つに、統一試験の問題があります。(NSWではHSC、QueenslandではQCEと呼ばれるアレです)
日本の多くの大学では、オーストラリアの統一試験結果を求めませんが、いわゆるトップ校、上位になればなるほど統一試験結果を求められますし、提出が必須ではないところでも、あれば有利にはなります。
オーストラリアでは、統一試験をパスして高校卒業となりますので、皆さんしっかり対策をやってくるでしょう。その点は問題ないのですが、頭を悩ます問題は
①統一試験と代替試験の負担
②統一試験の評価のされ方
③統一試験の受験時期
の3点です。
①統一試験と代替試験の負担
多くの私立大学の帰国生入試、その他特別入試は、高校3年生、Year12の9月~12月に行われます。しかし統一試験の結果は、12月にならないと出てきません。統一試験結果を求めない大学、例えば立教大学、青山学院大学などは問題ありません。このレベルの大学でも統一試験結果を求めないのはありがたいといえますが、その為か事実上かなりの高倍率(10倍前後)となり、難易度としては高くなるといえます。
また、慶應義塾大学のすべての学部、早稲田大学の多くの学部では統一試験結果の提出が必須ですし、関西学院大学でも、必須ではないが提出が強く推奨されています。
では、オーストラリアの高校生で慶應などに行きたい場合どうすればいいのか?
SATの受験です。SATは、アメリカの大学進学の際の学力評価テストで、日本でいえばセンター試験のようなものではありますが、何度でも受験し最もいいスコアを提出できるという特徴があります。オーストラリアでも各地で年に4~5回受験できます。
一般にSATと言えば、国語(英語)と数学の2科目を指します。それとは別にSAT Subject testという、生物、歴史、言語(日本語もあります)、英文学、数学(より高レベルの)などの科目別のテストもあります。
SAT以外でも、ACTという別のアメリカの学力テストを受け入れている日本の大学もありますが、こちらはすべての大学が受け入れているわけではありませんし、出題傾向も両テストで異なりますので、対策するならSAT1本に絞ったほうが得策です。
HSCの対策もやってSAT対策も。日本語も。勉強の負担は大変なものですが、、、しかしSATについては、実はさほど負担に感じる必要はありません。もちろん、負担はありますが「2つのテスト対策を行う」というほどの負担はない、という意味です。日本でいえば、例えばセンター試験と国立の二次試験対策、私立大学の併願校ごとの対策、というくらいの違いで、英語は英語、数学は数学ですから。
詳しくはこちらのSATについて、のページで述べますが、SATの問題はそれほど難易度が高い内容ではありません。
まずはSATがどんなものなのか、無料のサンプルテスト(お問い合わせください)など試してみてはいかがでしょうか?
また、SATは実はオーストラリアの大学入学の際にも認められているテストです(大学、学部によってはSubject testにおいて特定の科目の受験を求められますので注意が必要です)ので、日豪、あるいは日米豪を併願することも可能です。
②統一試験の評価のされ方
国公立大学の場合、多くは1月~2月に受験がありますので、オーストラリアの統一試験の結果が間に合います。問題は、HSC、VCEなどで高得点を取ったとして、自分がどの程度なのか比較がしづらいことです。
オーストラリアから東京大学、九州大学など、多くの名門国立大学に入学した実績はあるものの数は決して多いといえないため、合格圏内なのか、ボーダーなのか、全く話にならないのか、という自分の立ち位置が見えづらいのです。
他人は他人、あくまで自分はこの大学で、この勉強をしたいんだ、という強い意志があれば全く問題ありません。しかし、現実的には恐らく多くの方が他の私立大学なども併願するでしょう。
であれば、オーストラリアの統一試験結果は間に合うのは承知で、①でも書いたようにSATはそこまで大きな負担にならないと思いますから、SAT受験も視野に入れておくべきだと考えます。
③統一試験の受験時期
オーストラリアの統一試験は10月に行われますが、この時期は実は日本の各種入試の真っただ中、厳密には、いくつかの大学がその前後に面接や筆記試験を行う時期でもあります。早いところは慶應、早稲田が9月から始まり、10月は関西の主要大学、11月は立教など主に東京の大学ですが、早慶は学部や入試方法によって、9月から12月にかけて入試が行われています。
2019年の日程を見ると、例えば10月12、13、20日にそれぞれ別の大学で筆記や面接試験、17日にHSCの科目試験、などというケースもあります。その度に日豪を往復していたのでは、お金、時間、移動の疲労などで大きな負担になることは間違いありません。
しかし、実はオーストラリアの統一試験は、在日オーストラリア大使館、領事館で受験できるのです(要予約、要確認)。
大使館で受験というと緊張感が増すのは間違いありませんが、日本の大学一本に絞っている方はこのような方法もあるということです。
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2020.08.13 05:16
2020.08.13 05:16